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漕いで獲った一尾の重さ ~カヤックフィッシング~

とうとう買ってしまいました。
シーカヤック。
もちろん釣り用です。
購入に踏み切った経緯は諸般ありますが、一番の理由はショアから届かないあのナブラにルアーを投げ込みたいという想い、これに尽きます。
ちょうど周りに自分と同時期に購入した方もおり、色々とアドバイスを頂きました。
今回は購入してから一本釣るまでの出来事を時系列無視して書いていきたいと思います。
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昨年からショアブリを開始し、9月頃からは磯に入ることも多くなった。
本格的なタックルが揃ってからはますますブリに対する想いも強くなり、遠くのポイントへ足蹴に通う日々が続いた。
そんな中、ときたま目にするナブラや鳥山。
しかし、その多くがキャストレンジ外で、鰤と思われる魚種がベイトを水面に追いつめバシャバシャと捕食するシーンをただただ指を咥えて見守ることしか出来ない事が多かった。

『あのナブラまで届けば・・・』

今年に入り、シーズンインする少し前の時期から通うも、なかなかヒットしない日々が続き、遠目のナブラを眺めながら、なんとかならんもんか、と考えていると、はっ、と妙案が浮かんだ。

『浮けばいいんじゃん・・・』

そう、浮かぶという案が浮かんこうして、じゃあ何を買えばいいのかを探す日々が始まった。
資金は引き出しやら書類の隙間やら放置していたFXの口座やらをあさるとザックザック。
バイクも北海道では夏限定の趣向品、釣りがメインの今の生活ではほとんど乗らないので売っぱらった。
こうして購入資金を確保し、購入したのはfeelfreeのシット・オン・トップカヤック、『ニュージェミニ』。
スペックは以下の通り。

全長375cm、全幅81cm、重量28kg、最大積載量250kg

タンデム艇で、自分の体重が約60kgなので、250-60=190kg、装備等含めると、同乗者に求める体重の上限は少なく見積もっても150kg程。
自分含め、同乗者に減量を求めなくてもいいということがこの艇にした決め手(嘘)。
こうして大海原へ繰り出す手段を獲得した自分は浮っウッキウキだった。

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さて、初出艇の日、友達がカヤック仲間を紹介してくれて、同行させて頂けることに。
本当に心強い限り。
進水式にはシャンパンならぬスパークリングワインを用意し、勢いよく振り、コルクを抜く。

ボジョボジョボジョ・・・

あれ?もっと勢いよく出るはずじゃ・・・。
って、後から考えたら、口を手で狭めないとダメだった・・・orz
まぁ、とりあえず、全体に掛け、安全祈願の儀式を行い、いざ出艇。


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『おお、浮いてる!』

この日はシーカヤック初心者には有難い海況で、無風、ベタ凪。
パドリングは、幼き頃、近所のB&Gという施設のカヌー教室に通った時にやった程度。
グアムの真っエメラルドグリーンの海で乗ったりしたのはいい思い出だが、もう十数年も前の話なので、初体験も同然、同乗した相棒ももちろん初。
そんな二人がたどたどしいパドリングで、先を進むカヤック仲間を追いかけるが、もちろんまったく追いつけない。

とりあえず、初めてなので、この状況に慣れることを優先し、のんびりと漕ぐ。
すぐ疲れる、漕ぐ、疲れる、休む、相棒船酔いで撃沈、自分は頑張って漕ぐ、そんな感じ。
漕いだりジグを投げたり遊んでいると、遠目に大規模な鳥山を発見。
向かってみると、鳥がバシャバシャ、魚もバシャバシャ、そんな状況がすぐ目の前で行われているところまで近づくことができた。
プラグを投げるも魚は沈んでしまい、結局反応は得られなかったが。

しかし、この状況は素直に嬉しかった。
行きたいけど行けない、投げても届かない、もどかしい思いをし続けたナブラのすぐ傍まで近づくことが出来たのだ。
自分の中でこれは大きな衝撃で、嬉しすぎてずっとニヤニヤしていた。
相棒はバウまで足を伸ばしゴロゴロしていた。

結局、初日はロッドを通じての魚の反応を得ることは叶わなかった。
いや、初日だけでなく、しばらくは得られなかった。
行けど、漕げど、キャストせど、まったく釣れぬ、そんな日々。
しかし、海に出る度に得られる新しい経験、見たこともない景色。
その中の、特に印象的だった出来事を幾つかをピックアップしたい。





・子鳥山
写真からお分かり頂けるだろうか。
右側にいる鳥が恐らく親鳥で、左側が無数の子鳥達である。
この写真は子鳥達が海面の藻か何かをついばんでいるのを親鳥が近くで見守っている様子を写したものだが、この子鳥達が海面スレスレを群れを成して右へ左へ飛ぶ姿は圧巻だった。
始め、鳥山かと思い、近づいてルアーをキャストしようかと思ったが、どうもサイズがおかしい事に気が付き、やめたのだった。
やめてよかった。
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・鳥山
言わずと知れた、アングラーを興奮のどん底に落としてくれる鳥山。
あるポイントへ行ったときに、頻繁にあちらこちらで鳥山が発生し、その大半に追いつくことが出来た。
もちろん海面では、バシュバシュっとブリと思われるナブラが起こっている。
しかし、キャストするが全然食わない。
明らかにナブラの向かう先にルアーが届いているにも関わらず食わない。
手を変え品を変え、色々やってみるが、結局食わせる事が出来なかった。
ナブラに届いても食わせられないことがある、ということを改めて痛く感じた。
次こそは・・・。
写真は鳥達と戯れる仲間たち。
経験豊かな仲間はこの時にしっかりと一本ゲット、さすが!
自分と同じく始めたばかりの仲間は誰よりも最初に一本釣ってた、いいね!
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・海上での食事
何の変哲もない只のカップ麺、いつもは非常食として引き出しの奥にしまわれているが、釣り場で食べると美味い事に気が付き、それからは可能な限り携行していた。
しかし、これを海上で食べたら、思いの他すこぶる美味かった。
例えるならば、真夏の晴天炎天下無風灼熱の海上でシーカヤックに乗ったアラサーのアングラーが波に漂いながらカップをつつき麺をすすっているかの如くの旨さ、ってそのままか。
いや、しかし、日常となりつつある非日常の空間に、日常のモノを持ち込むのは楽しいもんです。
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そんな経験(?)を経て、ベタ凪無風だった先週末に再度ひと浮きしてきた。
これまでカヤック仲間と出たり、単独ソロで出たりと色々だったが、今回は初めての単独タンデム。
自分は今回で6回目、依然として準備に時間は掛かるが、パドリングは大分慣れた。
少なくとも目的のポイントまでほぼ休みなく漕ぎ続ける持久力はついた。
魚探は2回目、使い方も大方理解し、フィッシュアラームを入れたり切ったりすることを覚えた。
同行の相棒も2回目、酔い止めという薬を口から喉を通じて胃袋に入れ、気合い十分である。

『バシュ』 

出艇してすぐ、水深にして10数メートルの位置で水柱が上がった。
いる。
すぐそこに。
結局、投げたプラグに食らいつくっていうことはなかったが、ポイントへ向かう途中で幾度となくそういう状況を目にした。
耳にもした。

海面を意識してるんだろうかね、とか思いながらポイントについて投げるのはジグ。
トップを引くと、興味を示してくれるのは鳥ばかりだったので、そういう選択をした。
潮はさほど動いていない状況。
近くのボートの人が楽しそうに青物とやりとりする姿を横目にひたすらシャクる。

すると、相棒、このニュージェミニで初の魚を釣る。
35cm程のマゾイ。
まさか先を越されるとは、と微塵程感じながら、素直に嬉しい一匹。
自分はというと、モソッというアタリが数度程度、掛けるに至らない。
今日は何かあるかもしれない、と言われ、自分でもそうかもしれないと思いながらシャクる。

『モソッ』

ん?
なんか掛かったかな?
着底から5~6回ほどワンピッチした辺りでヒット。
しかし、まったく引かない、掛かってるのかどうなのかも分からない、かすかに竿先が曲がる程度。
グイグイと軽く追い合わせを入れ、引きを確認しながらゆっくりと巻く。
ソイかな?
すると、
徐々に、
徐々に、
段々と重くなり、
終いには、

『ジジ、ジーーーーーーーーー!!!』

奴だ!!
突然悲鳴を上げるソルティガZ4500。
止まらんドラグ、しなるロッド、もう気分は最高潮。


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しかし、グリップを脇にかかえるこの体勢、すんごく辛い。
只でさえジグを振り続けて腕に疲労が溜まってるのに、追い打ちを掛けるかのごとく負荷が掛かっているのだ。
テレビとかでこの体勢でヒットからランディングまで持ち込むシーンをよく目にしていたのでやってみたが、とてもじゃないけど腕が持たない、竿を立てる事が出来ない。
しかし、あっちは元気そのもの、こっちの疲労なんてお構い無しでガンガン突っ走る。
それもそのはず、向こうは命がけ、しかし、こっちも結構命がけ、負けてなるものか。

『ジジジジィーーーー!!』


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ロッドが海面に突き刺さり、第五ガイドまでもが海の中。
キツイキツイ、もう腕上がらない、もう無理(喜)。
仕方ないのでロッドエンドを太ももら辺に当ててみる。


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あ、すんごい楽(・∀・;)

ってか、なんで数分やり取りして限界ギリギリになるまでそうしなかったのかは分からない。
恐らく必死過ぎて、そうすること自体頭から抜け落ちていたんだろう、きっと。
んで、ゴリ巻きはちときつかったのでポンピングで軽々と寄せる。
魚探のフィッシュアラームはピッピッと鳴り、その魚が真下を泳いでる状況を示していた。


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姿が見えた、青物だ。
楽な体勢になってからは1分と掛からず海面に姿を現した青物。
イエローの尾と横のラインが憎らしい。


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海面で存分に空気を吸った青物はすぐに大人しくなったので、ためしにオーシャングリップでのランディングを試みる。
なかなかうまく咥えられず、両手共にプルプルしながら、あちらもイヤンイヤンと首を振りながら、なんとか口に入り、無事ランディング。


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『あーーー、疲れた!』

獲った瞬間の一言。
それまでの緊迫していた雰囲気から解放され、筋肉も緊張状態から弛緩状態へ移行、安堵の瞬間である。
オーシャングリップ越しに伝わるその重さは、紛れもなくこちらに軍配が上がったことを示していた。


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『よっこいしょ!』

まぁ、とりあえず、嬉しいから持ち上げてみた。
とりあえず、重い。
重量感たっぷりのその個体。
数秒この体勢を維持するだけでもすぐに腕がプルプルしてくる。


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70cm、4kg、ワラササイズの十分立派なフクラギ。
地味にサイズ、というかウェイトアップ。
使ってるタックルが違うので比較はできないが、やはり前回の3kgよりは引いた気がする。
というかこやつ、

ランディング→両足の間のスペース→暴れる→(;゚∀゚)=3

ホント危険。
ジグついたままだとより一層身の危険を感じる。
頭をあっちに向ければ大丈夫かな。
でもそれだったらフック外しづらいし、どうしたものか。
まぁ、また次回考えます。
それでちょうどいい時間だったので、そのまま帰岸してパシャリ。
自身のカヤックフィッシング初物は十分立派なフクラギだった、チャンチャン。


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っというわけで、カヤックフィッシングを始めてから今までをサラっと書いてみました。
前回帰岸する際、血抜き後のフクラギはストリンガーに掛けて海中に入れたまま漕いだのですが、むちゃくちゃ重くて苦労しました。
1km/h程度速度が落ちる感じ、どんなに全力で漕いでも4km/h出るかでないか。
天気よかったし、身を日に晒すのは鮮度落ちるかなと思ってそうしたんですが、あまりにも大変なので、次回からは巧い方法を考えます。

また、漕いでる最中、近くをプレジャーが通り過ぎたのですが、Uターン、こちらに近づいてくるではありませんか。
なんかあったのかな、とか思ってると、

『エンジン付いてんのかい?大丈夫かい?』

と、心配になって声を掛けに来てくれたのでした。
今までは、すぐ傍を全力で突っ走ってくボートにしか会ったことがなかったので、本当に嬉しく思い、有難い限りでした。
あれ、たどたどしいパドリングだったから心配してくれたのかな。

やっぱエンジン付きはいいっすね。
どこまでも行けそうな気がします。
しかし、カヤックの利点も色々とあるので、次回はそれを最大限に生かして、一本釣りあげたいと思います。
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by sakanatsurinisshi | 2012-08-31 01:55 | カヤック

追い求めた末の一本、そして・・・

ただ、ただ、あの引きを味わいたいがために、ひらすら走ったこの3カ月。
行けど、向かえど、本命に出会う事は叶わず、終盤にはボーズ続きで心が折れ掛かりました。
しかし、釣りに対する自分の姿勢を根本から見直すきっかけがあり、今の自分があります。
そんな中、ようやく獲った一本。
何物にも代えられない価値があることを、改めて感じました。
この喜びを誰かに伝えるのに、十分な表現力が今の自分には、ありません。
しかし、精一杯、キーを叩いて表現します。
どうぞ、最後まで読んで頂けると幸いです。
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2012年5月18日(金)B
風、波高、波周期、水温、潮流等のデータを基に場所を決める。
狙いは青物、しかし、水温としてはまだまだ低い、しかし、もしかしたら・・・、などと淡い期待を抱きながら現地へ向かう。
今年に入ってから対青物として揃えたミュートス・ソルティガを装備し、目的のポイントへ。

海況は、凪に近いが、多少風が吹いている感じ、悪くない、と思う。
このポイント、潮の流れや水深など、大まかなコトは頭に入っているが、
未だ自分でろくな釣果を出していないため、気になる箇所にただひたすら闇雲にジグをキャスト。

コン

と、ヒットしたのは、ホッケ。
しかも、ロウソクボッケ。
闇雲に投げた結果が、ホッケ。
しかし、キープ。

しばらく投げていると、また軽い当たり、ホッケのヒット。
今度は多少サイズアップ。
とりあえず、キープ。

足元を見るとホッケの群れ。
しかも、水面を割って何かを捕食している模様。
こうなると狙いはホッケになるが、狙うと釣れない。
自分の未熟さを奥歯で噛み締め、その気持ちをすでに釣ったホッケにぶつけ(背開きして)、その場を後に。






2012年5月22日(火)J
この日、立ったポイントは、とりあえずここで釣りをしたいと思った場所。
日常の喧騒から逃れたいが為に選んだポイント。
案の定、誰もいない。
そりゃそうだ、平日だもの。

この日はプラグをメインに組み立ててみる。
組み立てるったって、あんまり深いことまで考えが及ばないので、とりあえず釣ってみたいプラグを投げるだけ、ただそれだけ。

手に取ったルアーは、サクラマス用に自分で巻いた針を装着した、タイドミノースリム175フライヤー。

この時点(サクラ用自巻針)ですでに青物がメインではないが、どうもそういう雰囲気を海況からは感じられず、頭のどこかにサクラマスが泳いでいたから、それを投げていたんだと思う。
このルアーはとりあえずよく飛ぶので、キャストしてて気持ちが良い。
しばらくはフルキャストで、可能な限り遠投を繰り返していたが、まったく反応がないので、キャストする方向は徐々に岸際へ。

ゴン

と、結構いい引き。
しかし、ショアジギタックルの前には成す術も無いアブラコが海面を割って、登場。

『やあ、僕だよ。』

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やはりこいつの根に潜ろうとする引き味は、良い。
サイズも40cm程度、悪くない。
引き抜いて写真を撮るが、ひたすら暴れる、元気だね。

と、その瞬間、ルアーからジタバタしながら離れていくアブラコ。
フックから外れたか、と思ったが、フックは刺さってる。
しかし、ルアーとは繋がっていない、
よく見ると、自分で巻いた箇所が暴れた拍子にボロボロになって解けた模様。

『まだまだだね。』







2012年5月26日(土)H
この日、立った場所はただのポイントではなく、ターニングポイント。
釣りに対する様々な自分の考えが揺るがされた出来事、心の葛藤があったが、ここで書くのは意味がないと感じるので、また別の機会にキーを叩くことにする。

日に日に海水温も上昇を見せ、自分の中でのボーダーラインを越えた。
しかし、ここまで姿形を見せない青いシルエットは、狙う自分の気持ちを惑わせ続けた。
そして、別の、目に見える姿に翻弄されることに、なったようなならなかったような。

夜明けを待たずにポイントへ向かう。
風はほどほどにあるが、釣りにはまったく支障はない。
そして、驚くほどに流れる潮。
ジーっと海面を見ていると、何やら魚たちのささやき声が聞こえてきそうな、そんな雰囲気さえ漂う。
まだ暗いので、久々に取りだしたロックタックルで近距離、足元の状況を探る。

コン

コン

コン

ほぼ入れ食いに近い形でホッケがヒット。
聞こえて来た(否、来てない)ささやき声の主はこいつらか、と思いながら、カツオの一本釣り漁さながらのスタイルで次々とタイドプールに放り込んでゆく。

しかし、はっと、我に返り、ジグを結び直す。
ウミサクラチャン。
この年明けのサクラマスフィーバーでいい思いをしたジグに、これでもか、というほどラメを施したモノ。
見た目はこってこてだが、光を受けるといい感じに乱反射し、魚が視認してくれる、と信じている。
タックルはもちろんサクラ・ヒラメ仕様。
この時期、あまりにも沢山の魚種の可能性がありすぎて、どれを狙うか迷ったので、ひとつひとつこなしていく。

まずは、表層。
ヒット、ホッケ、ヒット、ホッケ。
サクラマスノーヒット。

次に、低層。
ジグを着底させ、2~3度ロングジャークでシャクリ、再び着底。
数回繰り返していると、

ドスッ!

来た!
デカい!
ドラグは若干キツめ、しかし、ジリジリと出される。
ひたすら根に潜ろうとするこの引きは、おそらく、あの魚。
こっちとしては、ただ、ただ、出された糸を巻き上げ、浮かせる事に必死。
これ以上はブレイクの危険性がある位までドラグを締める。
竿先を見ると、大きく、力強く弧を描き、時折魚の潜る動作に合わせて振動している。
改めて、掛けた魚の大きさを体全身で感じながら、足元に力を入れ、竿尻をお腹に当て、その引きに耐える。

しばらくは一進一退の攻防を繰り返したが、徐々に近づいてくるあの魚。
もうだいぶ糸は巻いた、もうそろそろ姿を見せてもいい頃。
と、思った刹那、見えた。
海面を割ったその姿は、あまりにも凶悪な歯、形相をしたあの魚。

ヒラメ。

デカイ。
海面で暴れる度に飛び散る水飛沫の規模は、その魚体の大きさを物語っていた。
これは絶対に獲りたい。
そう思い、足場見つつ、ランディングポイントを確認。

よし、ここだ。

幸いな事に、多少波があるので、その勢いに合わせてずりあげることを試みる。
タイミングを計り、、、3、、2、、今だ!

バシャバシャバシャ!

海面に近く、小高くなった場所にとりあえず乗せる事に成功。
しかし、次の波が来たら、これまで頑張った努力が無に帰する可能性のある場所。
ヒラメにとっては、起死回生、生き残るチャンスがまだ残された状況。
一目散、靴が濡れる事は気にせず急いで駆け寄り、リーダーを掴んでタイドプールへひっぱり上げる。

ふー。

完全に無意識でついた安堵のため息。
ロッドを持つ手、タイドプールのそばに立つ足は、それぞれ、微かに、断続的に震えている。
これは、極度の緊張状態にあった各部位の筋肉が急に弛緩状態になった反動で起きているのか、
それとも、釣り上げた感動、達成感で起きているのか、定かではない。
しかし、獲ったという、事実。
徐々に沸き起こる、満足感。
ごく自然に顔がにやける。
やった。

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60cm。
その後は、35cm程度のソイを釣り、相棒は42cmのアブラコを釣り、終了。
相棒は、一度、良型のヒラメっぽい引きをする魚を掛けたが、無念のフックアウト。
青物の姿は結局見れずじまいでこの日は終了。





2012年5月27日(日)R
訳あって、次の日、違うポイントに立った。
しかし、激しい潮流の前に成す術がなく、満足に攻めることが出来ないため、あれこれと対策を練る。
そんな中、移動の際、バランスを崩し、高さ2m程度の岩場から海へ落下。
何をそんなに焦ってたのか、その時の自分を責め立てたい。
しかも、落下の際、咄嗟に岩場に手を付いていたため、パックリ、親指から流血。
3本指穴あきグローブを、磯に入る際は2度と装着しないことを心に誓う。
結局、この日は踏んだり蹴ったりで、その場を後にした。






2012年6月2日(土)S
前回の事故を教訓に、様々な対策を施し、現地へ。
潮はほどほどに流れている模様。
潮が淀んでいる箇所を狙って、プラグを通す。

ググー!

来た!
デカイ!
しかし、ゴリゴリと巻ける。
ランディング場所を確認。
高いから、サイズによってはギャフが必要か、とギャフの位置を確認するが、遠い。
どうしよう。
とりあえず姿を見てからどうするか考えよう、そうしよう。
ひたすら巻く。
すると、見えた姿は、黒い・・・。

『や、やあ・・・。』
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40cm。
ルアーが口だけでなく腹部にも掛かっていた。
通りで重かった訳だ。
重いけど走る様な引きではなかった辺りからなぜ自分は気が付けなかったのかと考えてみるが、
その時は色々と必死だったんだということで自分を慰める。
結局掛けたのはその一匹だけで、その後は音沙汰無し。
船を眺めつつ、朝ごはんを食べて帰宅。
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2012年6月6日(土)L
サクッと現地入り。
強風。
潮はあんまり動いてない。
この日は、ジグメインでやってみようと思い、60~120gを色々と投げてみる、が反応なし。
横からの風なので、ただひたすらやりづらい。
そんな中、相棒、ワームで40cm程度のアメマスを釣る。
釣れるんだろうとは思ってたけど、実際に釣ってるのは初めて見た。うける。

その後、風がひどくなってきたので撤収。
一休みし、移動後、夕マズメ勝負。
沖には潮目が一本、射程圏内にあり、ひたすら潮目を目掛けてジグをキャスト。
底を取り、ワンピッチにロングジャークを組み合わせて数回

ドス!

ジジジジっとドラグは鳴らさないが、いい引き。
ミュートスもいい感じに曲がってる。
が、問題なくゴリ巻き出来る程度。
しかし、いい引き。
もしかしたら平物かも。
ダイビングペンシルを引く時よりも早いスピードでゴリゴリ巻いてくると、水面に姿を現したるは黒い姿。
ふむ。
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52cm。
何気にこんな大きなソイを釣ったのは初めて。
本命ではないが、素直に嬉しい一匹。
この日釣ったのはこの一匹のみだったが、十分に満足できるサイズだったので、これで終了、帰路に着く。






2012年6月15日(土)U
この日はロックフィッシングをやりたくて、現地到着後、仮眠を取らずに暗いうちから現地へ。
ポイントに着くと、すでに先行者。
いた事にビックリしたが、声を掛けたら向こうはもっとビックリしてた。
心細いし一緒にやりましょうと、お隣でやらせてもらうことに。
先行してた方はポンポンと何かしらの魚を釣ってスカリに入れていく。

『この魚、煮つけにすると美味いんだよね~』

ロックフィッシング、自分も始めた当初は釣った魚を持って帰って食べていたが、しばらくすると、釣ることがメインになり、リリースすることが多くなっていた。
しかし、その方は、ヒットする度に嬉しそうにやりとりをしていて、食べる時も嬉しそうな顔をされてるんだろうな、と思いながら、そんな姿に気持ちが温かくなった。
心の底から、純粋に釣りを楽しむということは、こういうことなのかな。
至って普通であろうその方の一挙一動に、その時はなんだかとても心が洗われた気がした。

気を取り直して、自分も水中にあるワームの動きに集中する.

コッ

ん?
なんか当たったかな。

ゴッ!

来た!
グググーっといい引きする。
いいねいいねー。
ディアルーナが悲鳴を上げそうな位曲がっている。
ひたすら重い。
一体なんだろう。
手前に根があるから、それだけは気をつけないと。
お隣の方はタモを持ってスタンバイしてくれている。
ホントありがとうございます。
無事ランディング。
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40cm。
サイズは思ったほどでもなかったが、すんごいぽっこりお腹。
この時期でもまだ粘って産み落としてない個体か、はたまた、ただの食いしん坊か、定かではないが、すぐさまリリース。
この時、リリースの仕方が悪く、しばらく海面を彷徨ってたのを見て申し訳ない気持ちになった。
次からはもっと優しくします。ごめんなさい。

しばらくすると、お隣さんが大物釣り上げて、絶叫。
ランディングのお手伝いをさせてもらい、ブツ持ちニコパチも撮って差し上げた。
『こんな大物、初めて釣りました、嬉しいです!』
その喜ぶ姿を見て、こちらも心の底から嬉しく思い、称賛の言葉を。
『おめでとうございます!』

その後は当たりもパッタリ。
明るくなってから、お久し振りな方が登場。
『来ると思ってました。笑』
一緒にジグを振り回すもカスりもしない。
磯寝してみるが、案外寝れるもんだね。
前回も同じように磯で寝てた気がするけど、きっと気のせいじゃないね。
起きて、昼飯食って、夕マヅメに備える。
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しかし、何やってもダメ。
遥か300m程の沖の潮目付近ではバシャバシャと青物らしきナブラが起こるも、こちらに寄る気配無く、ジグに掛かる事も無く、終了。






2012年6月16日(土)T
現地入りし、すぐさまポイントへ向かう。
状況としては、潮も動いており、何かしらの気配を感じる。
とりあえず近場を探ってみると、40cm程度のソイがヒット。
悪くないサイズ。
こんなのがコンスタントに釣れるんだったら何も言う事はない。

その頃、辺りは徐々に明るくなってきた。
海面では、時折バシュッっと小規模な水柱が立つのを確認出来る。
あれはなんだろう。
ジグミノーでトップを泳がせてみる。
ヒット。
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40cm。
面白い。
ルアーチェンジし、再度同じところを通すと。
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40cm。
今度はアメマス。
キャストする度に何かしらの魚がヒットする。
次はアブラコ40cm。
揃えたかのように同サイズ。
これはダイビングペンシルにアタックしてきた。
ジグに変えたらソイがヒット、40cm。
なんでも釣れる状況。
キャストする度に、様々な魚たちがルアーに身を寄せてくる。
トップで引くと、水柱を立てながら追ってくる状況。
青物でなくとも、これは面白い。
そうそう無いこんな時合い、逃してはなるもんかとただひたすらキャストを繰り返す。
がしかし、時間にしてほんの数分~十数分程でパッタリと静かになってしまった。
魚の活性が上がった時は、こうも楽しいものなんだということを改めて感じた瞬間だった。

その後はまったくな状況で、ボーっと海を見る時間も増えていった。
2km程先の沖では数十~数百頭程いるのではないかと思われるイルカの大群が水柱を上げている。
圧巻。
パシャパシャと撮り、一枚だけいい写真が撮れた。
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何をやってもダメだったので移動。
移動先は釣りにならなかったので再度移動。
再度の移動先では、これまたお久し振りな方が登場。
『来ると思ってました。笑』
しばらく並んで狙うも不発で終了。





ここからの約一カ月間、自身はまったくのノーフィッシュ。
2012年6月29日(金)W
同行して頂いた方が、初めてジグ使ってアブラコをフィッシュオン。おめでとうございます。
2012年6月30日(土)G
単独ノーノーフィッシュ。
2012年7月1日(日)M
同行させて頂いて、良型のヒラメがフィッシュオン。タモ入れ万歳。おめでとうございます。
2012年7月4日(水)V
単独ノーフィッシュ。
2012年7月10日(水)D
単独ノーフィッシュ。
2012年7月31日(火)A
単独ノーフィッシュ。

共に苦労して磯を巡り、そこで釣ってるのを見てホントやりましたねって言いたくなる。
いや、実際言ってると思う。
その場の、その喜びを、その時に分かち合える人がいるっていうのは素晴らしい。
後半の単独でハゲ散らかしている時、ふとそんな事を考えながら帰路に着いていた。

しかし、ちょうどその頃、周りでは良型の青物が上がった話を聞く度、焦りを隠せない自分がいた。
なんで自分にはヒットしないんだろう。
なんで自分はそういうポイントを選べないんだろう。
なんて自分は魚を見つける力がないんだろう。
なんて自分は腕が未熟なんだろう。
『なんで』と『なんて』。
そんなことを悩んでも仕方ないことは分かってる。
そういうのは、どれだけ現地に足を運んだか、どれだけ経験をしたかで補うものだということも。
しかし、あまりにもの釣れなさに、釣り自体が楽しくなくなって来ていた。

そんなある時、自分がなんで釣りをしているかを考える機会があった。
元々は、空白の時間を埋める為に始めた釣りが、いつしか生活の一部になり、今では私生活の大半を占めるようになっていた。
今、釣りをしている理由として、自身の精神状態を保つ為、日常の喧騒から逃れる為等色々あるが、やはり、釣りをする行為自体が好きだから、これが一番大きいと思う。
実際、釣りは大自然豊かな環境下、しかも、朝マヅメ、夕マヅメという朝日夕日のオマケ付きで行うことが多い。
そういう場所へ、燃料・時間を掛けて行き、だだっ広い海にルアーを放り込む。
そんな贅沢な事が出来ること自体、自分は幸せなんだと感じるようになった。
そして、禿散らかすのなんて些細な事で、重要なのはその場の雰囲気を楽しむ事にあると思えるようになってきた。
そう思ったら、断然気持ちは楽になり、釣り場に向かう足取りも軽くなった。
なんで釣りをするか、今ならこう言える。
『釣りが好きだから。』






2012年8月4日(土)N
この日、大変お世話になった方がいる。
現地の状況をこと細かく教えて頂いた。
それは自分のモチベーションを上げるのに十分過ぎる程の内容で、現地でどのように攻めるかのヒントにもなった。
大変有難い限りです。

現地到着し、まだ幾分早かったので仮眠を取ることに。
起床、4時半、多少寝坊したが、まったく許容範囲内、急いでポイントへ向かう。
立とうと思っていた場所には先客が、いや、正確には立とうと思っていた場所のすぐ隣だが、どうせなら広々とやりたいと思い、挨拶だけ済ませてすこし離れた所に立つ。
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多少、雨は降ってるが、霧雨みたいなモノ、自身の癖毛がうねる程度、問題ない。
波は多少のうねりを有し、磯際に程良いサラシを生成する。
準備を終えた頃、頭上を数頭の鴎や鵜が沖に向かって飛んでゆく。

『朝飯の時間です。』

と言わんばかりの形相で飛ぶ彼らの姿にしばし目を奪われる。
その向かう先に何かあるのかと、期待の眼差しで見つめるが、特にナブラを目指している訳でもなさそうなので、見つめるのをやめ、ジグを投入。

撃投ジグ105gピンク

買ったばかりのジグ、ウレタンコーティングも済ませ、今日の為に準備していたモノ。
ボックスに入れた新参のルアーに抱く期待は計り知れない。
キャスト時、ジャーク時、それぞれに、いい意味で力が入る。
こいつは何を連れて来てくれるのかな、と妄想に耽りながら、自分のショアジギのパターンを試していく。
ジャカジャカ。
ショートワンピッチ。
ロングワンピッチ。
ロングジャーク。
フォールフォールフォール。

ゴツン!

一瞬何が起こったのか理解出来ないほど、強烈な当たり。
ロングジャーク後のフォールで来たため、根掛かりとは明らかに違う。
臨戦態勢に入っておらず、足場の悪い所に立っていたため、バランスを崩し、一歩足を前に付く。

来た、来た、来たっととと。

追い合わせを2~3度入れ、急いでグリップエンドをお腹に当てる。
ロッドを立て、足を踏ん張り、準備万端。
ひたすらその引きに耐える。

ジジジジ

4kg程度に設定していたドラグが僅かに音を立てる。
これは、大きい、がしかし、恐らく獲れないサイズではない。
少しだけドラグを締めて、潜られないように浮かせながらゴリ巻き。
ただひたすら、必死でリールを巻く。
ようやくヒットに持ち込んだんだ。
絶対に獲りたい。

リールのハンドルが重い。
ただ、巻けばいい、それだけの動作、されど重いと大変さは何倍にも増す。
あと何回巻けばいいんだろう。
そんなことを考える暇がないくらい、ひたすら巻く。
腕に乳酸が溜まってきて、巻ききれなくなってきたので、ポンピングで浮かせながら巻く。
必死に巻く。

もうそろそろ見える頃かと思った時、見えた。
奴だ。
今まで自分が釣った事のないくらい大きいサイズ。
その瞬間、余力を残した奴は、最後の力を振り絞るかのごとく、潜る動作に転じる。
やばい、潜られる、あー!!

ブチッ!!

となることを期待した方には申し訳ないが、しっかりと浮かせて事なきを得た。
しかし依然と元気。
いつ潜られるかも分からない状況。
早いとこ上げてしまいたい、と思いながらギャフを探すといつものように遠くに置いてある。
うん、そうだよね。
とりあえずランディングポイントを探し、ずりあげられそうな箇所を見つける。
波の状況を見ながら、つ、次で、いや、次で、よし、今だっと!!

ビチビチビチ

でっけー。
と思う余裕もない。
次の波が来たらすぐにお帰り頂くことになる。
急いで駆け寄り、尻尾を掴んで安全な場所へ持って行く。

ふーやったー!

実際には『ハァハァハァ、ふー、ハァハァハァ、やったー、ハァハァ、!』
しかも、近くに人が居たので心の中で。
殆ど無酸素運動、酸素が足りない。
呼吸が整うまで肩で息をし、手を膝に着き、存分に酸素を補給する。
落ち着いて来たと同時に沸き起こる達成感。
感傷に浸る余裕さえ生まれた。
そんな自分に、手足は微かに笑って見せた。

















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70cm、3.2kg。
ブリと言うには少々足りないが、立派なサイズのフクラギ。
昨年釣ったやつは小フクラギといったところだろうか。
引きも段違い。
70cmという大きさの割には多少スリムな個体だが、引きは格別だった。
本当に楽しい。
タイドプールに横たわる姿を眺めつつ、今までの自分を振り返りながら、続けていてよかったと思った。
本当によかった。

その後は当たりも無く、これ一本で終了。
しかし、十分に満足。
一度は心が折れ掛かったが、多分折れても釣り場には向かってたかな。
でも、気持ち的に、前述した、心の転機がなければ、向かう道中は違っていただろうと思う。
もしかしたら、これもヒットしてなかったかもしれない。
気持ちを切り替え、釣りに対する姿勢を見直した結果の一本。
これは、自分の青物に対する想いを強める要因としては、あまりにも十分な釣果である。
ここからスタート、今やっとスタートラインに立ったんだとさえ思えた。




さて、自分の青物人生の開幕を祝うかの如く、
勝利のブツ持ち写真を今撮らん!









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なーんてね。
ちと感動的に状況・心理描写してみました。
まぁ、そう思ったのは事実で、釣れない時の周りの釣果に対してはただひがんでいただけです。
だって、あまりにも自分が釣れないんですもの、自分だって人間ですもの。
しかし、とりあえず一本釣れたので心に余裕が生まれました。
でも、ひがんではいたけど、おめでとうを言いたい気持ちは本当。
やはり近くの人が、満足いくサイズ釣ってたら嬉しくもなります。
その節は、傍で釣りをしていた方々、おめでとうございます。

今回の釣果、最終的には自分一人で釣り上げましたけど、決して自分一人の力だけではここまで来ることはできなかったです。
それは、自分と関わってくれる方々のおかげであることを、この場で強く感謝したいです。
ありがとうございます。
また構ってください。


最後に、タイトルですが、一本釣った先、続きがあるかの様に書いてますが、続きがあります。
今ここでは書かないですが、軽く写真だけ。
また別の機会にアップします。
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by sakanatsurinisshi | 2012-08-09 13:57 | ショアブリ